2021年1月10日 (日)

市報連載「水俣エコハウス通信-職人さんに聞く-」⑩

寒くなりました。

 Img_2053

昨日はこの辺りも雪が降って、水俣エコハウスの屋根も真っ白!

水俣市広報誌「広報みなまた」1月号の「水俣エコハウス通信」は、この屋根の、瓦のお話です。

Photo_20210110110301

山下さんに伺ったお話をもう少し詳しくお伝えします。

 

瓦には釉薬瓦と無釉薬瓦の2種類があります。

釉薬瓦は、焼く前に釉薬を塗りガラス質を形成したもので、多様な色にできて、経年変化しません。

いぶし瓦は無釉薬瓦です。釉薬を塗らずに焼き、その後密閉して燻化することで炭素膜を作り防水性を上げるのだそうです。こちらは銀色から黒っぽく変化します。

エコハウスの屋根の色も変わっていくんですね…楽しみです。

Img_0993

ちなみに、瓦はその土地の土で焼いたものが、やはり長持ちするそうです。

エコハウスの瓦は熊本で作られたもので、寿命は30~40年だそうです。

 

台風や地震で瓦の危険イメージが広がってしまったのは残念です。

現在は全国的なガイドラインもできて、安全対策はしっかりしているとのことです。

Img_0972  

エコハウスの屋根には約2000枚の瓦が葺いてあるそうです。私たちはこの瓦たちに守られて、快適にかつ安全に過ごせているんですね。

山下さんのお話を聞いて、屋根を見る目が変わりました。

Img_0534 

山下さん、ありがとうございました。

 

| | コメント (0)

2020年12月26日 (土)

市報連載「水俣エコハウス通信-職人さんに聞く-」⑨

前回に続き、(有)溝口工業の溝口亮さんにお聞きした話をお伝えします。

こちらは水俣市広報誌「水俣エコハウス通信 第9回」の記事です。

12

本格的に一軒の土壁を作らせてもらったのは有り難かったと、水俣エコハウスを建てた時のことも振り返りお話してくださいました。

前回(第8回)の記事にもあった「その時の天候や採取した土の種類、そして壁の厚みや大きさに合わせて良く考え、試行錯誤しながら前に進む事」が土壁を建てる上で大切になるのですが、

歴史が長い分、それだけ土壁の工法が深く、その状況によって、ここはこうしたほうが良いというような方法が色々あるとのこと。

建設当時は、現場で大工さんや従業員との話が沢山できたと振り返ります。

色んな工法に詳しかったり、色々やっているという左官業の人達とのつながりが出来たことや、

もう引退された左官工から、自分はこうしとったという話が聞けたことはとても良かったという。

そんなお話を聞いて、技術は本などの情報だけでなく、現場や人で受け継がれていくものなのだと改めて深く思いました。

そして、「土を作る時も何十回とやって体感すると体が覚える」という溝口さんの話を聞いて、

手間もかかるが良い物にはそれ相応の時間がかかっているというのは、そのように体で覚えながら作っていく魅力だとも感じました。

「あと30年、40年くらいして、もし誰か左官業を始める人が、土壁の作り方を探してもネットにものっていない、本にものっていないとなった時、自分がいるとか言っていたらいいですね」

 

土壁は、そもそも土を素材に使っているということ自体が現代の住宅にとって珍しいですが、

お話を聞くうちに、その魅力にすっと触れられるようになりました。

例えば、地元の山の土(水俣なら水俣の土)を藁などと調合して作り、その土地その土地の土を使うことの面白さです。

家を建てる前に、ここの地元の土を使うんですよというお話を聞くことで、家の一部や生活のなかで、地元の素材や生産地とつながることが出来るのはとても楽しそうです。

溝口さん、お話をありがとうございました。

 

| | コメント (0)

2020年11月28日 (土)

市報連載「水俣エコハウス通信-職人さんに聞く-」⑧

水俣市広報誌に連載中の「水俣エコハウス通信」第8回の記事です。

11月号は、(有)溝口工業の溝口亮さんのお話の前半です。

11

「竹を編んで、土を作って、壁を塗る」建て方の水俣エコハウスですが、

いまでは家の建材に土を使うこと自体が珍しくなっているようです。

「左官さんの仕事」と聞くと伝統的な工法を想像しますが、現在はもっと幅広いみたいです。

設計者によって好みやスタイルも違うので、その人や家が求めているものを作っていく。

土壁も求められたら塗る、という時代なのだと教えてもらいました(漆喰を塗る家は多いらしいです)。

***

本文中の写真にもありますが、土壁の土台を水俣では「えつり」と呼びます。

00000398

これは水俣エコハウス建設時の写真。えつりに使われる竹が運ばれました。

竹は八代の井上産業さんから。孟宗竹の3年くらいのものが使われました。

00000524 00000525

割竹を作って組んでいき、縄で編んでいきました。

縄は、シュロ縄で編まれているのが良いと昔から言われ、その中でも

黒色が十何年経っても外れない、ということで黒シュロ縄が採用されたようです。

00000450

00000522

「良いものにはそれ相応の時間がかかるもの。ゆっくり時間をかけてやる。」

手で一つ一つ編んでいくという手間をかけて、えつりが作られました。

そこに土(小川産)を塗ります。藁を混ぜ込ませて馴染んだものを使います。

00000535

土壁塗り

00000579

00000537

00000574

 

外壁塗り

00000638 

00000640

00000875

 

仕上げの漆喰塗り

00000821 000008300000088200000885

00000832

***

左官さんの仕事は、土壁や漆喰塗りといった伝統的な工法に限らず、

大きなコンクリートの壁をどんどこどんどこ(ここでもコテやゲタ等の道具を使って)塗るようなこともされています。

街中の色んな場所で、左官さんの手掛けたものを探してみると面白いかもしれませんね。

 

| | コメント (0)

2020年10月18日 (日)

市報連載「水俣エコハウス通信-職人さんに聞く-」➆

前回に続き、渕上畳店の渕上学さんにお聞きした話をお伝えします。

今回は、畳の手入れのお話です。

先ず、水俣市広報誌「水俣エコハウス通信」第7回の記事をご覧ください。

Photo_20201018130501

Img_5156_20201011134901

見学者からよく聞かれるのが、畳のカビや虫の心配ですが

この対策は、ずばり換気と掃除ですね。

記事にあるように、自然換気が難しいなら、扇風機を使って。畳に向けて首振りで回しておく。(ついでに押し入れの両側を開けておくと、湿気がこもりがちな押し入れにも空気が流れるのでお勧めだそうです。)ただし、雨の日に窓を開けて行なうと外の湿気を取り入れるのでNG

虫は、食べかすやフケなどの汚れをエサにするので掃除が大切。

安易に防虫剤などの化学薬品を使うのではなく、

週に12度は掃除機をかけたり、換気をするなどのお手入れが有効ですよ、

とのことでした。

 

Cimg0142

上はエコハウスで3年前に畳干しをしたときの風景です。

畳の下の床も掃除できて、とても気持ちの良いものでした。

日々、暮らしを支えてくれている畳、1年に1度くらいはこうして風に当ててあげたいですね。

そして渕上さんが言われるように、畳に限らず自分が住んでいる「家」に関心をもって、もっと仲良くつきあっていきたいと思いました。

 

おまけ

昨年渕上さんに教えてもらって管理人で修繕したいぐさの座布団です。

Img_3512

ひと夏しっかり活躍してくれ、今では色も馴染んでいい感じになりました。

Img_0288

まだ何年も使えそうです。

渕上さん、ありがとうございました。

 

| | コメント (0)

2020年10月11日 (日)

市報連載「水俣エコハウス通信-職人さんに聞く-」⑥

水俣市広報誌に連載中の「水俣エコハウス通信」第6回の記事をお届けします。

今回は、渕上畳店の渕上学さんのお話の前半です。

6

お話を聞きに水俣市長野町の渕上畳店さんの仕事場へお邪魔しました。

壁に藁床畳。1枚約32キロ。

これを担いで市営団地の34階へ上がるのだそうです。 

Img_5025_20201011134801

道具を見せて頂きました。

これは畳を縫うための縫い針です。かんざしのように大きい。

Img_5057

手のひらにはめているのは針を押すための手皮。お裁縫の指ぬきの役割ですね。

Img_5059_20201011130101

畳を切る包丁。始めは左の大きさだったのが使いこむうちこんなに小さくなって、用途に応じて使い分けてるそうです。

Img_5068

「畳の表替え」の作業も見せていただきました。

Img_5073

まず畳床(土台)に畳表を張り、框(かまち)を縫いつけます。

Img_5093

Img_5096

次に縁(へり)を縫いつけます。

Img_5109

下紙ごと平刺し縫いをして、返し縫いをします。

Img_5118

完成です。 

Img_5133  

記事の文章にもありますが、最近稲わらの畳は少なくなっているそうです。

品種改良で稲の丈が短くなったことや、コンバインの刈り取りが多くなったことなどで、畳に向く良い品質の藁が手に入りにくくなったのも原因のひとつです。

また、今の家は湿気を吸収しない素材が多く使われ、また気密性も高くなっています。そこへ天然素材の畳を入れると、畳だけが湿気を吸収してカビの原因になってしまったりすることもあると…。

でも、記事にも書いたようにとても優れた昔ながらの藁床畳が減っていくのは、残念なことです。

Img_5032_20201011134801

~わが子を見るような愛情あふれるまなざし。

 

いぐさのお話も伺いました。

いぐさはまず1年畑で苗を作り、次の年、株分けしたものを秋に植えて、夏に刈り取ります。

手間がかかるんですね。

かつていぐさは青いダイヤと呼ばれ、八代には5000軒を超えるいぐさ農家がありましたが、需要の減少で今は300軒くらいになっているそうです。

ちなみに1枚の畳に使われるいぐさは約4000本。

上等だと6000~7000本。ちょっと見当がつきませんが…。

Img_5153

そして、いぐさは収穫すると、普通「泥染め」をします。鉱石を砕いて水に溶かしたプールにいぐさを浸けるのです。

そのメリットは、

・色が均一になる

・すべりにくくなり織りやすい

・色落ちしにくい      などですが、

デメリットとして、

・工程で乾燥させるとき粉塵が舞う。

・カビやすい。       といったこともあるそうです。

より健康志向の高い方は、無染土(泥染めしない)のいぐさ素材を選ばれる方も多いそうです。

ちなみにエコハウスの畳は全部無染土のいぐさです。

「より素材を活かし、健康や環境にも配慮する。それがエコハウスの考え方なんですね。」と渕上さん。

 

大変勉強になりました。

次回は畳の手入れのお話をお伝えしたいと思います。

 

| | コメント (0)

«十五夜 お月見