木製建具

2016年6月29日 (水)

続・建具屋さん訪問記

前回の古田建具店訪問記の続きです。

水俣エコハウスの建具についてだけでなく、昔の水俣の建具屋さんのことや建具全般についても聞かせてもらえました。

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興味深かったのは、水俣のチッソは戦前からビニールを作っており、それをもらってきて網戸に使ったというお話。

「それまでは真鍮の金網(上写真)しかなかった。チッソがあったから水俣はそういうのも早かったもんな」と、お父さんが教えてくれました。

チッソの仕事が町の建具屋さんにもつながっていた事実に、水俣の歴史を感じました。

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お父さん思いの古田さん、親子で助け合ってこられたのが分かる姿が印象的でした。

台の上で取り掛かっているのは、現在多い「フラッシュ戸」の骨組み。

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この両面に合板などをはって仕上げます。

だけど、やっぱり日本の杉かヒノキを使って丁寧に作られる建具との違いは歴然。

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個人のお宅に頼まれたという、杉の赤みと白みが美しい板戸です。

「木製建具は防犯性が弱かったり、腐食があったりするけれど、

体にやさしいというのは間違いない。

水俣エコハウスの言う、自然と共生して「足るを知る」と同じだよね」

これから何十年と、誰かのお家で使われていくんですね!

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もう一つ興味深かったお話。

材料の板は家の裏で乾燥させるそうですが、そのとき、木の根元側を上にして立てかけるそう。すると木の中の水分が頭から抜けていく。

そして、水分と一緒に表面のアクも抜けていくので、雨に濡れたほうがいいそうです。

中国からの桐などは白くきれいにみえても、このアク抜きをする手間をかけてないので、あとから黒ずんでくるそうです。

なんでも、ひと手間があとから差を生んでくるんですねえ。

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加工も同じで、ホゾを二枚にするか一枚にするかで、何十年後に製品に差が出てくるそうです。

見えない部分こそ手を抜かず、大事にする・・・耳が痛いような!

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さて、こちらはお父さんお手製の道具です。

機械化以前は、道具も用途や自分に合わせて作っていたことは、大工さんでもどの職人さんでも同じですね!すごいなぁ。

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最後にお願いした、素敵なツーショット^^

昔は建具屋さんというものはなく、大工さんが全部していたそう。

それから分業され、水俣の建具店も往時は10軒あったそうです。

今は半分の5軒に減ったそうですが、仕事に対する古田さんの熱心で丁寧なお話や、お父さんの淡々としたお姿に、これからも変わらない、大事なものを教えてもらった気がします。

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最後に!こちらエコハウスのトイレットペーパーのホルダーは、竹の曲りを生かした古田さんの作。

眠る間もなく働いたという工期の最後に作られた思い出の品。

来館時は、こちらも要チェックです!




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2016年6月28日 (火)

建具屋さん訪問記 

 
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7月発行の「水俣エコハウス通信④」で紹介するため、水俣エコハウスの建具を手掛けた古田建具店を訪ねました。
 
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仕事場では親子二代で働く姿が。
「仕事を続けるのが元気の源」というお父さんは、83歳だそうです!
 
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水俣エコハウスで来館者を驚かせるのが、この南側の大開口部の建具。
木製の雨戸、ガラス戸、格子網戸、障子と4重の建具が、その時々の環境や季節に合わせて、エアコンなしで暮らすことを可能にしています。
 
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機能だけではない、こまやかな美しさと木のあたたかみにも心ひかれます。
 
でもそのお仕事は「建具職人泣かせ」だったそう。  
というのも、水俣エコハウスの建具は伝統と新しいものが融合していて、
図面を渡されたとき、「どうやって作るんだろう」と思われたそうです。
設計士の方にも「初めてです」と言われたとか(笑)
どうやって作るか、その作り方は誰も教えてくれません。
経験と工夫で自分で考えなければならない。
まさに職人!
 
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これは玄関扉の模型、
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実際に組んで見せながら、1つ1つ、とても丁寧に説明してくださいました。
こうして材を組んでから、最後にガラスを上から滑りこませているのですね!細かい!
 
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こちら二階の客間の建具。大正、昭和風のモダンなデザインが人気です。
 
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雨ばかりの最近ですが、雨の時に登場するのが、この「ガラリ雨戸」。
陽光や雨は防ぎつつ、斜めに羽板を差して隙間を作るため(下の写真)、風は通る「ガラリ戸」。
「よろい戸」とも言いますね。
 
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エコハウスのには内側に網も張ってあるから、虫も入ってこない優れもの〇
「ガラリ戸というのは昔からあるけど、それに網戸が付いてる(設計)のは初めてだった」と古田さん。
そうなんだ!これは声を大にして来館者にアピール、説明せねば!(笑)
 
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これは、現在制作中の個人宅の木製の網戸だそうです。
 
住み手が自分で網を交換できるよう、サッシ網戸と同じ作りの金属枠を取り付けてあります。
木製の建具も見直されてきていて、大きな会社が奈良県などにあるそう。
そこから個人の建具屋さんにも部品を分けてもらえるようになり、こういう製品が可能になったそうです。
 
「エコハウスの建具の網は、簡単に取り替えられないのが気になって・・・
自分で手入れしながら永く使う、というのがやっぱり大事だからね。
これに格子を入れたら、網が取り替え可能な格子網戸もできるね!」
と嬉しそうな古田さん。
 
木製建具も時代に合わせて日々改良され、使われ続けていくのを目の当たりにし、嬉しかったです。
(おっと、スペースがなくなったので、一旦アップします^^)
 
 

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2010年10月12日 (火)

木製建具の良さ(1)

水俣エコハウスの建具は、ほとんどが木製建具です。
木製建具はアルミサッシと違って、木の温かみがあり、職人さんの技が息づいています。

例えば、エコハウスの玄関のこの建具・・・

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こんな目の細かい格子は、熟練された技をもつ職人さんにしか作れません。

下の写真は、先月のイベントでの建材の展示会で、実際にエコハウスに関わった建具職人さんが作って下さった模型です。

ガラスを上から入れてあるんだそうです。 

 
  
 

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これは、2階風見櫓のところ。
昔の旅館を思わせる建具です。
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ガラス戸も同じ形です。
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そして、水俣エコハウスの見どころの一つである、南面の大開口部。
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この細かい格子は網戸なので、夏も虫がはいる心配はありません。
管理人は夏場過ごしていて、この格子網戸には外の熱を遮る効果もあるように感じました。

   

水俣エコハウスに来たら、昔ながらの木製建具の細かい技ををぜひ間近にみてくださいね♪

 

 

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